「……ん……んんっ?」
ゆさゆさ、ゆさ……
心地良く、身体を揺さぶられる。
布団の上から密着する、プニプニ柔らかなこの感触。
この感じ、もしかして……。
「起きて……起きて、お兄ちゃん♪」
「ぅんん、ん…………やっぱり、夢見か……」
また勝手に部屋に入ってきたな。
まったく俺のプライベートはどこに行ったんだか。
上半身を起こすと、馬乗りになっていた夢見はピョン、とベッドから降りた。
「おはよう、お兄ちゃん♪」
「……ああ、おはよう……」
俺を起こしに来たのは、小さい頃から幼なじみの小鳥遊 夢見。
ウチの隣りに住んでいて、ずっと一緒にいたこの従妹は、俺にとっては本当の妹みたいなものだ。
そして最近ほぼ毎朝、俺を起こしに来る。
何かにつけて、俺の世話を焼きたがるのだ。
「早く下に降りて来てね。朝ご飯の準備、できてるから」
「はい、ど〜ぞ!」
「これは……美味そうだけど、でもなぁ……」
カツ丼、豚のしょうが焼き、エビフライ、更にはメロンまで。
どれもこれも、俺の好物ばかりだ。
でも朝からこんな濃い料理を、それもこんな量、食べられないって。
「いただきま〜す……」
残した分は、夜にでも食べるか……。
「たくさん食べてね、お兄ちゃん! じゃああたし、洗濯と掃除してくるからね」
「それはいいよ、あとで母さんがやるからさ」
「伯父さんと伯母さんは、映画を見に行ったよ。『遊び人将軍、大暴れ!』のペアチケット、あたしがプレゼントしたの」
「そっか、出かけたのか……たまにいないと、静かでいいよな」
「ずっといないと、もっと静かでいいのにね〜」
「……はっ?」
「ジョーダンよ、ジョーダン。でもあたしがいれば、寂しくないでしょ?」

エビフライを口に運んだ俺に、ピタッと身体を寄せて。
“お兄ちゃん”である俺に甘えるように、夢見は言った。
「あたしこのまま、この家に住んじゃおうかな〜?」
「そ、それはヤバいだろう……やっぱり」
カワイイ幼なじみと、一つ屋根の下で同棲。
それはそれで、なかなかドキドキのシチュエーションだと思う。
でもそんなことしたら、男として欲望を抑えられないかも……。
「やっぱりダメかぁ〜、ここには伯父さんと伯母さんがいるもんね……(やっぱりジャマかな、あの二人)」
「ん、何か言ったか、夢見?」
「ううん、なーんにも。だったらさ、あたしのウチに一緒に住もうよ、お兄ちゃん♪」
「はは、考えておくよ……おっ、そういえば、のんびりしてられないんだった!」
大事な用事を思い出した俺は、一気に飯をかき込んで立ち上がる。
「どこか出かけるの、お兄ちゃん?」
「あっ、ああ……ちょっとな」
「どこに行くの? 教えて教えて〜!」
「う〜ん……」
教えちゃうと、たまについて来ちゃうんだよな夢見は。
子供の頃からずっとそうだったし。
考えあぐねていると、夢見は俺の顔を覗き込みながらニッコリ微笑んだ。
「お兄ちゃんの後を追いかけたりしないよ。あたしも今から出かけるんだもん!」
「そうなんだ……気をつけて行ってこいよ、夢見」
「ウン! お兄ちゃんこそ、気をつけてね……世の中、悪い女がいっぱいいるからね」
ガサガサ、ガサ……
「さぁて、支度しなくちゃ。まずは一番大事なカメラでしょ、望遠レンズでしょ……ハサミも入れておかなくちゃ。武器は絶対必須だもんね」
「あっ、現在位置も確かめておかないとね。お兄ちゃんは今……あ〜あ、やっぱり神社に向かってる。あのアブない巫女に会いに行くつもりなんだ!」
「やっぱりちゃんとあたしが見守ってないと、心配だよ」
「でもいいよね、もしもの時はあんな巫女、このハサミで……フフッ」
「今日の『お兄ちゃん撮影会』は、神社だね。楽しみ〜……いつも通り見つからないようにしないとね♪」
★ 続きは6月25日発売のCD本編を聴いてね♪